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8月は戦争の話し中心です。


by chobimame

子供もカタログから選ぶ時代へ



こんなニュースを目にしました。

知っている人もいるとは思いますが、
まず、下の記事を読んでみて下さい。

<米に誕生受精卵バンク、1つ2500ドル>









このニュース、アメリカ国内で賛否両論が起こっているようです。
簡単に言ってしまえば、2500ドル(28万円相当)出せば、提供者のデータから選んだ好みの精子と卵子を自由に組み合わせて作った自分だけのお好みの受精卵を1つ買えると言うわけです。
その他、必要経費等(代理母にするか?自分で産むか?)は個々によって変わってくるみたいですが、普通自動車1台分くらいの値段で1人の人間の命が買えるわけです。
一応、不妊症のカップルなどに推奨しているようですが、お金を出せばどんな条件下にいる人たちにも簡単に受精卵が手に入ります。
むろん外国人が申し込んでもOKです。
東洋人から100%西洋人の子供を生み出すことも可能です。
それだけではありません。
代理母を頼めば、出産をしている暇のない女性や、ホモカップルでも大丈夫。

わぁ~28万円で、好みの子供が作れるなんて、なんてお安い買い物でしょう!

なんて言えますか???

まるで、犬や猫をペットショップで買うような感じですね・・・
言葉は悪いですが、1つの命が28万円で買える・・・
どう思いますか?

女として、欲しくても病気や身体的理由で子供が望めない女性の悲しさというものは判るような気がします。
不妊症だったら、不妊治療に関し可能性のあるものは試してみたいのが人情でしょう。
しかし、たくさんの提供者のデーターから、好みの学歴、血統、容姿、等々、消費者が自分の好みでオーダーするという事に違和感を憶えずにはいられません。
子供には、醜いより美しく、劣っているより賢く生まれて欲しいと思うのは親心でしょう。
それはあくまで親としてのささやかな望みたいなものです。
そんな心理を上手く突いたのが、この受精卵ビジネスかもしれません。

だからと言って人の命や生命の誕生に関して、決して合理性を求めてはいけないと思います。
合理性を求めた時点で、それは人間を育成するというより、物作りに近い感覚になってしまわないでしょうか?
妊娠・出産というのは、まさに神秘の世界。
神の領域と言っても過言ではないでしょう。
それを消費者側の好みで提供者のデーターからオーダーメイドって・・・
消費者側は自己満足で良いかもしれませんが、生まれた子供の気持ちはどうでしょう?
自分はカタログから選ばれ、父とも母とも血の繋がりがない完全オーダーメイドの子供と知ったらどうでしょう?
産みの親が本当の親じゃないというなんとも摩訶不思議な構造にショックを受けないでしょうか?
このシステムは、一見、出産の選択肢が広がったように見えなくもありません。
しかし、それは本当に子供が欲しい人のすることなのか?と言うと疑問です。
自分と血の繋がりの無い子供でも良いなら、養子という選択肢もあるではないですか。
世界中、人の手を差し伸べなくてはいけない子供はたくさんいるんです。
なぜ、そういう子供ではダメなのでしょうか?

この受精卵バンクの社長はテレビのインタビューでこう言っていました。
「普通の子を育てるより、優秀な子を育てたほうがいいでしょう?」
将来、優秀な頭脳や美しい容姿の可能性を持った受精卵・・・
子供に賢さ優秀さ美しさばかりを求めて、それがなにになるのですか?
平凡な子供は育てる価値がありませんか?
子供は着せ替え人形でもペットでもないのです。
それとも、優秀な子供の人生にぶらさがる為ですか?
子供には子供の人生があり、また、人格を持った1人の人間なんです。

そして懸念されるのが、こうして生まれてきた子供が、消費者の理想とまるきり違った子に育った場合です。
頭脳も平均的。容姿も案外平凡だったら・・・?
例えば、すごく素晴らしい宣伝文句に乗せられて、高価な最新式の電化製品買いました。
期待と裏腹に使ってみるとそれは思った程よくなく、従来通りの商品となんら代わりがなかったら・・・?
高価なほど、すごく裏切られた気分になりませんか?
返品したくなりませんか?
電化製品なら返品や捨ててしまえば済むでしょう。
しかし、受精卵の問題は、あくまで子供ですから親の愛情の掛け方如何でもっと悲惨な状況を招く可能性があるんです。

以前、アメリカには似たような会社があったのです。
(今は自然淘汰的に潰れています)
ノーベル賞受賞者が精子を提供する精子バンクがあったのです。
しかし、そこで精子の提供を受け生まれてきた子供は、いまだ誰一人としてノーベル賞はとっていません。
そればかりか、精子の提供を受けたある母親は、ノーベル賞受賞者の父親の遺伝子を意識し、生まれた時点から子供にプレッシャーを与え続けるようになります。
あくまで高知能に拘り続けた母親と息子の間には、心に埋まらないであろう深い溝を作り、息子は母親を憎みながら母親を捨てた例もあります。

お金を出せばなんでも出来る・・・
人も動物も血統賞付きでなくてはいけませんか?
お金によって、人が人を冒涜するようなことをしているとは思わないでしょうか?
子供は、親のアクセサリーでもなく、オモチャでもなく、
まして、自由に作り変えたり操作されて生まれてくるようなものでもありません。

命とはいったいなんでしょうか?
人は人の命を操作するくらい偉くなったのでしょうか?
by chobimame | 2007-01-09 22:54 | 気になること